【80時限目】 内覧会同行 アーキスケット 出口
マンション内覧会のチェックが終わり、
指摘事項を一通り説明した後、
「最後に確認ですが・・・
バルコニーや共用廊下の柱際の袖壁に構造スリットが見当たらないのですが、
構造設計上、必要ないのですか?」
とマンション内覧会チェックに立ち会った施工会社の現場主任に問いかけると、
「えっ???・・・構造スリットって何ですか?」
という驚くべき回答です。
※構造スリット : 地震時に、柱(短柱)が、せん断破壊しない様に壁と縁を切る為に設ける隙間
逆に、
「えっ! 構造スリットも知らないでマンションを造っているんですか?」
「・・・・・・・」
そこで、現場主任は携帯電話を取り出し、
「もしもし、所長ですか? 構造図を持って応援に来て欲しいんですが・・・・!」
しばらくすると現場所長が現れ、
現場主任が構造スリットについての指摘について説明すると、
「構造図では、確かに構造スリットが入るようになっています。
この壁はタイル仕上げなので見えなくなっているだけです!
コンクリート壁には、ちゃーんと入っているから大丈夫です!」
と苦渋に満ちた顔で現場所長が説明します。
通常は、構造スリット部のタイルが割れない様に目地を設けるのですが、
見た目(意匠)を重視し、タイル面に目地を設けない場合もあるので、
「本当ですね! それでは、このパイプシャフト内のコンクリート壁はどうなんでしょうか?」
ここは、タイルが貼られない部分なので、構造スリットの有無が一目瞭然です。
「・・・・・・・」
こうなると、タイル面も疑わしくなったので、
現場所長の同意のもと、
一部タイルを剥がし確認すると、構造スリットは、”案の定”ありません。
これでは、構造スリットを設けることが前提の構造計算が成り立っていません。
極端な言い方をすれば、『耐震偽装』にも匹敵するものです。
悪意は無かったにせよ、
無知識 = 犯罪
になりかねません!
結局、マンション内覧会チェックを行った部屋だけの手直しだけでは意味が無いので、
「このマンション全体の構造スリットの有無を確認し、是正・手直しします。」
と現場所長も言わざるを得ません。
後日、マンション内覧会同行の依頼者から、
その部屋部分だけの是正写真が送付されてきましたが・・・・・・・・