【150時限目】 author アーキスケット 出口
お部屋に入るといつもの様に、
マンション内覧会同行のご依頼者と施工会社の立会い者に
マンション内覧会検査の進め方について説明します。
そして、その最後に、
「検査の最後に、このレーザーレベルで、
床の傾斜および壁の傾斜について測定します!
一般的にマンションデベロッパーの許容値は、傾斜が3/1000であり、
その測定値がそれ以内であることを確認します!」
すると、
「ちょっと待って下さい!
ここのマンションデベロッパーの許容値はそうとは限りません。
誤解を招くようなことは言わないでください!」
と、施工会社の立会い者から一言クレーム。
「そうですね。それでは、このマンションで採用している許容値はいくつですか?」
「・・・・、チョット待ってください!所長に確認します。」
見た目は主任か副所長クラス。
『こんなことをいちいち所長に聞くのか?』
で、携帯で所長に確認をとると、
「所長がマンションデベロッパーに確認してから回答するとのことです。」
「そうですか・・・それでは回答を待ちましょう。」
ということで、ただ待っていても仕方がないので内覧会検査を進めます。
検査の最後に、
レーザーレベルを取り出し、
床の傾斜を各部屋の四隅および2m間隔で計測していきます。
その後、
壁の傾斜を部屋の四隅の長辺および短辺方向それぞれ計測していきます。
かたわらでこの計測状況を見ていた
施工会社の立会い者は、
「ここのマンションの施工精度は良いから、絶対に大丈夫だ!」
と、もう一人の施工会社の若手立会い者にヒソヒソ話しで豪語。
このヒソヒソ話しを聞き逃さず、
「何を基準に精度が良いと言っているんですか?」
「・・・・・」
「所長以下全員が、
マンションデベロッパーの許容値を知らないで施工しているんですか?」
傾斜測定を終えると、
ちょうどその時、所長から施工会社の立会い者に携帯連絡が入ります。
「今日は、マンションデベロッパー担当者と連絡が取れなかったとのことです。
当社としての管理許容値は、3/1000とのことです。」
「そうですか・・・・それでは、とりあえず3/1000を許容値として判断します。」
そして、レーザーレベルで傾斜測定した結果を、
マンション内覧会同行のご依頼者と施工会社の立会い者にご報告。
「傾斜測定の結果、床も壁も全て3/1000以内に納まっています。」
すると、施工会社の立会い者は、
ニタッとして、
「このマンションの施工精度は良いですから!」
と誇らしげな顔。
でも、実は次の日、別な方から
同じマンション内覧会同行のご依頼があり、
レーザーレベルで傾斜測定をすると、
壁の傾斜が床と天井の間で15mmも倒れていました。
これは、
許容値を2倍以上も超えてしまっています。
残念ながら(?)、
このお部屋の施工会社の立会い者は若手の違う人でしたが、
「本当に倒れていますね。大変申し訳ありません。
お恥ずかしいですが手直しさせていただきます!」
と誠意ある回答をしてくれました。