【166時限目】 内覧会同行 アーキスケット 出口
梅雨の合間の晴天の日。
マンションゲートから敷地内に入ると、
自然木が生い茂った中に数棟のマンションが
配置よく建ち並んでいます。
エレベータで3階へ上がり、
内覧会場の棟まで、この自然木に囲まれた渡り廊下を渡っていきます。
眼下には、アジサイの花が満開で私たちを迎えており、
まるで山間部の吊橋を渡っているかのようです。
こんな気分よく始まったマンション内覧会ですが・・・・
バルコニーに出てみると、
柱と袖壁の間に設けられた構造スリットがどうも解らない。
この袖壁は巾525mmあるのですが・・・・
「ここの構造スリット、柱際に垂直方向に設けられた完全スリットと、
梁下と床上の設けられた部分スリットが混在してますね!」
「そうですね!」
「部分スリットのほうは、鉄筋は通っていますか?」
「通っていません!」
「完全スリットのほうは、当然鉄筋は通っていないはずですから、
そうするとこの袖壁はコーキングで支えているんですかね?」
「構造のほうは詳しくないので、内覧会場で確認します。」
ここで、構造スリットとは何か?
構造計算をする場合、
計算を簡易化するために雑壁は柱に付いていないとして計算します。
一見、壁が付いていたほうが強いと思われがちですが、
実はこの壁が曲者で、
地震の時など柱に悪さを働いてしまう場合があります。
そこで、柱と壁の縁を切る必要があり、
それが構造スリットと呼ばれるものです。
表面上の見た目は、シールがされているだけなので、
建築の素人の方にはそれほど重要なものには見えないかもしれません。
しかし、所定の構造スリットが入っていないと構造計算書が成り立っておらず、
極端なお話、耐震偽装に匹敵するような重要なものです。
更に専門的になりますが、
完全スリットというのは、
壁が大きい場合、柱と壁を完全に縁を切ってしまうものです。
部分スリットというのは、
壁がそれほど大きくない場合に、
壁の一部分を切り欠いて柱への影響を小さくしてしまうものです。
さて、内覧会場にて、
立ち会った施工担当者の上司と思しき人が登場!
「先ずは、部分スリットの場合も鉄筋は入っていないと聞いたのですが?」
「壁のダブル配筋を部分スリットではシングル配筋にしています!」
「そうでしょうね!でなければ壁が空中に浮いた状態ということにないますからね。」
「さて、袖壁が500mm以上の場合、御社の基準では完全スリットですよね!」
このお部屋の袖壁は525mmなのですが、
サッシの欠き込みが70mm程度あった場合はどうでしょう?」
「サッシの欠き込みは関係なく完全スリットです!」
「先日、違うお部屋の内覧会で確認したら、
サッシの欠き込み寸法を差引いた寸法で判断するという説明でしたよ!
そして、そのお部屋は部分スリットになっていました。」
「・・・・確認します。」
「次ぎに確認したいのは、
ここのお部屋では完全スリットと部分スリットが混在していたことです。
どういったことでしょうか?」
「即答はできませんので、後日、見解を述べさせていただきます。」
袖壁長さが525mmでサッシ欠き込みがある壁の場合、
完全スリットなのか?
部分スリットなのか?
『解らないから両方入れてしまえ!』
ということなのだろうか?
こんなやり取りを、
壁に張り付いたクワガタ虫が見守っていたのには、
ビックリでした!