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2008年10月 アーカイブ

2008年10月30日

内覧会★同行日記 【オープンキッチンと思ってたのに!】

【195時限目】                              author アーキスケット 出口

今回のマンション内覧会のご依頼者は、
年齢50才前後の夫婦からです。

マンションの買い替えは、
都内の大学に通う娘さんの通学の為という、
何ともお子さん思いからの理由からだそうです。

お部屋に入り、
ご依頼者の奥さんの第一声。。。

「アレ???、オープンキッチンじゃない!
 これじゃー、一番の楽しみにしていた、
 お料理をしながらリビングにいる主人や娘とのお話ができない!」

パンフレットの図面を確認してみると、
システムキッチンの上部に吊り戸棚や袖壁の表記があります。

すると、すかさず施工会社の立会い者が、
「パンフレットの図面では、オープンキッチンにはなっていないですよ。」
と、図面を指し示しながら説明。

「だって、モデルルームではオープンキッチンでしたよ!」

「お部屋のタイプが違うんじゃないですか?」

「確かにお部屋のタイプは違うんですけど、
 売主の営業担当者からは、
 『キッチンの前は広く開いていて家族との会話を楽しめますよ!』
 と説明があったんです!!!」

ここで、ご主人。
「私たちが、パンフレットの図面を理解できなかったんだから仕方がないじゃないか。」
と、あきらめ顔。

でも、奥さんは、
「売主の営業担当者の説明が悪い!」
と、あきらめられない様子。

ここで、
パンフレットの図面には、意外とたくさんの情報が記載されています。
線の1本1本に意味があり、
その他、記号(凡例はありますが・・・)、文字、寸法線なども
重要な情報なのです。

しかし、マンション購入者にとっては、
図面というよりは、
雰囲気が解る”絵”としてしか感じていない方も多いのではないでしょうか。。。

「だったら、売主がちゃんと説明してよ!」
との反論もありそうですが、
売主側からすれば、
『質問を受ければ回答します。』
といったスタンスしか取れないでしょう。

そして、結局は、
マンション購入者の自己責任になってしまいます。


この奥さん、
この後のお部屋の検査では目もうつろ。
魂がどこかに飛んでいってしまった状態です。

ということで、
ご主人と私で、お部屋の検査は頑張りました。。。

2008年10月25日

内覧会★同行日記 【マンション買い替え成功!】

【194時限目】                              author アーキスケット 出口

マンション内覧会同行のご依頼者と、
最寄り駅で待ち合わせ、目的のマンションに向かいます。

その道すがら、
「このマンションはまだ完売していなくて、
 私たちが購入した同じタイプの部屋を、
  500万円も値下げして販売しているんです。。。」

「へー、内覧会の時期で、もう値下げ販売しているんですか・・・」

「なんか、500万円損した気分です。。。
 契約後の値引き交渉は出来ないんでしょうか?」

「言うだけ言ってみてはいかがですか?」

なんて、少々悔しい話題となってしまいます。

この時期、サブプライムローンの余波を受け、
深刻な不動産不況です。
新興デベロッパーなどは体力も小さく資金調達に四苦八苦。
少々の値引きをしてでも、早く現金がほしいのです。

さて、お部屋に入ると、
「わー!大きな墓地が丸見え!見えないかと思ってたのにー。。。」
と、マンション内覧会同行のご依頼者の第1印象。

しばらくすると、
「思っていたより、車の騒音が大きいわー。。。」
と、マンション内覧会同行のご依頼者の第2印象。

とは言っても、
私としてはどうしようもなく、お部屋の検査を進めます。

お部屋の出来としては、
・バルコニー側溝の水勾配が取れていない。
・ガラスのキズが数箇所
・壁の倒れが許容値オーバー
などなど、少々手直しに手間のかかる指摘が挙がります。

そして、内覧会場で施工会社と協議のうえ、
「指摘されたものは、全て手直しします。」
と回答を得て、マンション内覧会は無事終了。


後日、
「もしもし、先日は大変お世話になりました。
 また、同じマンションの内覧会に同行していただきたいのですが。。。」

「ハイ、再内覧会の同行依頼ですね。」

「いえ、同じマンション内でお部屋を買い替えたんです!」

「えっ???」

で、改めてのマンション内覧会当日、
最寄り駅で待ち合わせ、マンションに向かう道すがら、

「同じ新築マンションの買い替えで、2度の内覧会同行依頼なんて初めてですか?」
「ハイ、初めてです!」

「今度のお部屋は、墓地も見えないし、騒音もそんなに気にならないところです!」
「納得いくお部屋がまだ空いていたのですね!」

「ハイ」
「でも、手付金なんかどうなったんですか?」

「それも含めて、追加料金もありませんでした。本当にラッキー!!!」

この不動産不況で、
マンション価格がどんどん下がっている時期が成せる
マンション買い替え成功談でした。

2008年10月21日

内覧会★同行日記 【杓子定規の遮音仕様】

【193時限目】                              author アーキスケット 出口

マンション内覧会同行のご依頼者から
事前に送付していただいた資料を事前にチェック。

『当マンションは、遮音仕様を配慮しており、
 水周りと居室の間の壁は、コンクリート床から上階のコンクリート床まで、
 LGS下地の両面ともにボード2重貼り』
となっています。
しかも、解り易いように挿絵付き。


そして、マンション内覧会の当日。

部屋の配置計画は、
隣り合うユニットバスと洗面室がそれぞれ、
広いリビングに面しています。

ユニットバスの天井点検口を開け、
頭を突っ込み天井裏を覗いてみると、
ユニットバスとリビングの壁が片面だけしかボード貼りされていません。
しかも、コンクリートのスラブtoスラブになっていません。

施工会社の立会い者に、
「リビングとユニットバス間の壁の遮音仕様がパンフレットとは異なりますね!」
と確認すると、
「ユニットバスは、水周りではありません!」
と、理解不能な回答です。

まだ、
『ユニットバスのパネルを壁の遮音として考えています。』
と回答してくれるほうが、まだ、理解できます。

パンフレットで、
様々なパターンのある遮音仕様を表記するのは難しいとは思いますが、
誤解の生じない表記にしてもらいたいものです。


次に、
リビングと洗面室の遮音仕様は、
パンフレットどおり、
両面ボード2重貼りのコンクリートスラブtoスラブになっているのですが、
リビングに面する2m程度の1面の壁だけです。
残りの3面の壁ボードはコンクリート床までは達していなく、
洗面室とリビングの天井裏はツウツウ状態。

施工会社の立会い者に、
「これでは、せっかくの遮音仕様が意味を成していませんね。」
と確認すると、
「パンフレットに記載の遮音仕様どおりです!」
と、杓子定規の回答です。


パンフレットだって、設計図だってミスはあるのです。
あるいは、設計者の経験不足・知識不足だってあるのです。

ものごとの本質を見極め、
遮音のためにはどうあるべきかを考え、
時には、パンフレットや図面を確認し、
見直すべきは見直す姿勢が必要ではないでしょうか。。。。

以前のことになりますが、
あるマンションの内覧会で、施工会社の担当者に、
「居室と水周りの遮音仕様はどうなっていますか?」
と尋ねると、
「音源と室内間の”どの断面”をとっても、ボードが2枚あります。」
と、本質を解った回答を得たことがあります。

それこそが、建築技術者ではないでしょうか。。。。


2008年10月17日

内覧会★同行日記 【工事仮設が外観を変える】

【192時限目】                              author アーキスケット 出口

ここは、大規模中層マンション。
敷地の中央部に緑地帯と遊歩道があり、
その周りに同じパターンの棟がいくつも配置されています。

マンション内覧会のご依頼者と
遊歩道を歩きながらマンションの外観を眺めます。

すると、全ての棟の
長い共用廊下のコンクリート手摺の中央部分で、
約7mほどのタイル目地や水平打ち継ぎの色が違って見え、
ミョーに目立ちます。


お部屋に案内してくれている施工会社の担当者に、

「あそこのタイル目地と水平打ち継ぎ目地の色が違いますね。。。」
と確認すると、
「ハイ、あそこの部分は在来工法でコンクリートを打設しタイルを貼っています!」
との回答。

「では、その他の部分はPC工法(工場制作)なのですね!」
「ハイ、その通りです!」

ここで、
PC工法と在来工法でのタイル目地と打ち継ぎ目地の違いについて解説です。

PC工法では、
工場で型枠(鋼製ベッド)にタイルを敷き並べコンクリートを打設し、
その製品を現場に持ち込み組み立てていきます。
そうすると、
タイル目地や水平打ち継ぎ部分(実際は見映えのみ)は、
コンクリート色になります。

一方、在来工法では、
現場打設されたコンクリートにタイルを貼り、
目地部分には目地材を詰め、
水平打ち継ぎ部分にはシールをします。

従って、タイル目地や水平打ち継ぎ目地の材料自体が
そもそも変わってきます。

さて、話しを戻し、
「そうすると、あの中央部分で色が違うところは、
  工事用の仮設エレベーターがあった所で、後施工したところですね!」
「その通りです!」

「でも、施工会社都合の工事仮設で外観の色が変わってしまうのは疑問を感じます。」
と言うと、
「建物を造るには仕方無いことです!」
と、一刀両断の回答。

施工方法を色々考えれば良いのであり、
『仕方無い。』という言葉には納得できません。
しかし一方で、工期、コストなどを考えると理解もできます。
・・・・・矛盾してますかね?

「ところで、あの在来工法部分のタイル目地の色は何ですか?」
「”濃灰”(色)です!」

「コンクリート色に近い”灰”(色)を使用すれば、もっと目立たなかったのでは?」
「そうですね・・・・・、でも、今更手直しは出来ません!」


2008年10月13日

内覧会★同行日記 【アルミサッシ後付モヘア】

【191時限目】                              author アーキスケット 出口

いきなり、
「モヘアって何?」と聞かれそうなので先に説明します。

モヘアとは、
アルミサッシなどについているブラシみたいなものです。
これは、アルミサッシの開閉時などに隙間を塞ぐもので、
その機能はお解かりですよね!

さて、マンション内覧会。
南面バルコニーに面するリビングダイニングに
ワイドスパンのアルミサッシが取り付けられています。

両袖には、FIXガラスが嵌め込まれ、
中央部の2枚のアルミサッシがバルコニー側で左右に開閉が出来る構造です。

まだまだ、このシーズン、お部屋の中は暑いので、
このアルミサッシを全開!

そして、2枚の網戸を閉め、
「2枚の網戸同士の隙間はなく、召し合わせ良し!」
そして、
「網戸と開けられたアルミサッシ間の隙間もなく、召し合わせ良し!」

しかし、よくよく見ると、
全開したアルミサッシのガラスを嵌め込む縦枠が、
FIXガラスの縦枠と重なるまで開きません。
これは、
指詰め防止の為にアルミサッシのレール部分に固定されたストッパーがあるためです。

もしかして、もしかして・・・・

バルコニー側より、
アルミサッシのガラス縦枠とFIXガラスの隙間に指を入れてみます。
案の定、指1本分が素通り。

これじゃー、この隙間から虫が入ってしまいます。

でも、まさか工場製品であるアルミサッシに、
『こんなこと有るわけ無いよなあー・・・』
と、アルミサッシの位置や網戸をパズルの様に移動してみます。

しかし、どう動かしても、この隙間は解消されません。
『たぶん私が何かを間違え、勘違いしているんだろう???』
と思いつつ、
でも、解決しておかなければなりません。

きっと、
『こうやれば問題ないんですよ!』
と、嘲笑しながら回答されるのを覚悟して、

「このアルミサッシの網戸、隙間があるんですけど・・・・」
と、施工会社の立会い者に回答を求めます。

「そんなことは無いはずですよ!」
と言いながら、
この施工会社の立会い者もパズルの様にアルミサッシと網戸を開け閉めします。

でも、結局、お手上げ。
「後日、サッシメーカーに確認します。」
と、回答を先延ばし。
(チョットだけホッとする。。。)


後日、マンション再内覧会を終えた内覧会同行のご依頼者からの以下のご報告。

リビングダイニングのアルミサッシですが、
事前に、メーカーの仕様でそうなっているとの説明を受けました。
説明の中で、”ブラシ”みたいなもので虫の侵入を防いでいる仕様とのことです。

ん??そんなの付いてましたっけ???

で、内覧会の時に立ち会った施工会社の人と、
現地で実物を確認。

すると、
確かに、”ブラシ”みたいなものがしっかり付いていました。

「正直、こんな”ブラシ”付いていませんでしたよね?内覧会の時は。。。」
と尋ねると、
「ハイ。確かに付いていませんでした。申し訳ありません。」
との回答。

だったら、
事前の説明で、
「メーカーの仕様でそうなっている。」
なんて、説明しないでほしいですよね!

2008年10月10日

内覧会★同行日記 【実は同業者なんです】

【190時限目】                              author アーキスケット 出口

マンション内覧会同行のご依頼者とともに、
マンションエントランスで受付を済ませると、

「本日、ご案内をさせていただきます○○です!」
と、内覧レディーがご挨拶。
引き続き、
「施工を担当しました、△△△建設の○○です!」
と、施工会社の立会い者がご挨拶。

この施工会社の立会い者、
その作業着姿を見ると、
ネクタイをビシッと決めてはいるものの、
ズボンの裾を折り返し、
上着はというと、LLサイズなのか、
どうも体に合っていない。

しかし、
「作業着のサイズが合っていませんね!」
と、内覧会検査の指摘事項としては挙げられません。

さて、お部屋の検査では、
マンション内覧会同行のご依頼者が何かを指摘すると、
何等、反論することもなく、
黙々と内覧会シートに記載していきます。

そして、私が挙げる指摘・確認事項の説明です。

「このリビングに面するパイプシャフトの壁ボードは1枚のようですが、
 このマンションでの遮音仕様はどうなっていますか?」
「・・・・、内覧会場で確認します。」
と、仕様を解っていない様子。

「この大きなFIXペアガラスに、火花焼けが多数ありますね!」
と指摘を挙げると、
「本当ですね!これを取り替えるのは大変でしょうね!」
と、まるで人ごとのような回答。

「このバルコニー排水溝のウレタン防水と床タイル貼りの施工順序が反対ですね!」
と、指摘を挙げると、
「本当ですね!通常ならウレタン防水をしてから床タイルですよね!」
と、私に賛同してくれます。

もしかして、この施工会社の立会い者は・・・・

マンション内覧会では、
多数の検査が集中し、対応するのが困難な為、
同じ施工会社の他の現場から応援部隊が駆けつける場合も多々あります。
この場合、
そのマンションの仕様や施工方法を解っていないため、
指摘事項や確認事項に対し即答を避け、
「内覧会場で確認します!」
と、回答せざるを得ません。

ここで、
「失礼ですけど、この現場を担当された方ではありませんよね!」
「ハイ・・・・」
「自分の現場も大変なのに、内覧会に借り出されるのも大変ですよね!」

「イエイエ、実は私も同業者なんです!」

「えっ???何の同業者ですか?」

「内覧会同行の業者です!
 ○○○○○という内覧会業者を知っていますか?」
「ハイ、資本のバックもしっかりしている大きい内覧会業者じゃないですか・・・」

「内覧会業者が施工会社側の味方なんて知られたらマズイんで、
 ヒミツにしておいて下さい!」

「・・・・・・」

『だったら、素性を明かさなかった方が良かったんじゃないの?』
とは、言いませんでした。

2008年10月07日

内覧会★同行日記 【壁傾斜の結末】

【189時限目】                              author アーキスケット 出口

大手ハウスメーカーの一戸建て建売住宅の内覧会。
2階洋室の壁の傾斜をレーザーレベルで測定すると、
何と、床から天井までの間で12mmも傾斜しています。

ここで、壁傾斜の許容値について。

『住宅の品質確保の促進等に関する法律』では、

傾斜3/1000未満          ・・・構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性は低い
   3/1000以上6/1000未満・・・  同 上                 一定程度存する
   6/1000以上          ・・・  同 上                  可能性が高い

と、基準を定めています。
各デベロッパーやハウスメーカーでは、この基準を基に、
一番厳しい3/1000を各社の許容値と定めているケースが多くあります。

さて、ハウスメーカーの内覧会立会い者に、
「ここの壁の傾斜は、3/1000を越えていますね。」
と、レーザーレベルとスケールを当てながら確認してもらいます。

「本当ですね。。。手直しします。」
と、回答をもらい内覧会を終了。


後日、ハウスメーカー立会い者から、
「壁のボードをめくってみたら、構造体である柱も12mm倒れていました。」
と電話でご報告。

「で、どうするんですか?」
「柱の倒れも手直しします。」
「で、どうやるんですか?」
「内装材、外装材を撤去し、屋根をジャッキで支え、壁を引込みます。」
「大変な工事になりますね。」


ハウスメーカーより、
この手直し工事のピンポイントでの第三者監理の依頼を受け、
後日、柱を引込んだ段階での検査に行くと、
洋室部分の骨組みが無惨にも露になっています。

柱の傾斜をレーザーレベルで測定すると、
2mm以内に納まっており合格!

しかし、
事前に防水への影響を考え打合せをしていたにもかかわらず、
外装の防水シートは破れまくり、
端部シールは非常に雑。
防水機能を果たすようにはどうしても見えません。

手直し工事前に、
外装防水への影響と手直し方法について
打合せ指示したにも関わらず。。。。
しかも、この時は、
ハウスメーカー側は、本社の技術部、品質管理部など、
一級建築士、一級建築施工管理技士など、
技術者が6人も居たのにこの結果。

「事前の打合せどおり、
 破れた防水シートの上に新規防水シートを貼りこみ、
 外装モルタルとの取合いは、丁寧なシーリングをしてください!
 このシーリングが命なんですから!」

「ハイ。。。」


通常ならば、ここで終わるのですが、もう一話!

この洋室の横にある廊下で、
むき出しになった天井裏を見てみると、
あるはずの断熱材が見当たりません。

「ここの断熱材はどうしたんですか?」
「天井ボードを剥がしたときに取れてしまったんですかね?」

「それでは、取れてしまった断熱材はどこにありますか?」
「・・・・」

「手直し工事をするごとに、
 本来見えない部分で新たな不具合が見つかるとは不信感を持ってしまいますよね!」
「・・・・」

後日、
「赤外線による非破壊検査で、断熱材の確認をしました!」
「で、結果はどうだったんですか?」
「妻側外壁でも、一部断熱材が入っていないことが確認できました!」


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