【210時限目】 内覧会同行 アーキスケット 出口
マンション内覧会同行ご依頼者から、
事前に送付されてきた資料のパンフレットを見ると、
”断熱仕様を十分に配慮した設計”
と謳い文句。
そして、その挿絵には、
外壁、外部の梁、そしてスラブに45cmの折り返し断熱が描かれています。
さて、
マンション内覧会検査。
外壁に直行するコンクリート戸堺壁をげんこつでコンコンと叩くと、
なるほど、断熱材が埋め込まれ折り返しがされていることが判ります。
続いて、その上部の梁をげんこつでコンコンと叩くと、
どうも、断熱の折り返しがありません。
これでは、断熱折り返し仕様が片手落ち?
施工会社の立会者に、
「戸堺壁は断熱材の折り返しがされているようですが、
梁の断熱材の折り返しは何故していないのですか?」
と尋ねます。
一瞬、”ドキッ”とした表情が浮かび、
少し間をおいてから、
「梁は、断面も大きく熱容量が大きいので必要ありません!」
との回答。
???
確かに、壁に比べ梁の熱容量が大きいことは解ります。
しかし、この回答は的外れなのです。
専門用語で、”ヒートブリッジ”
壁だろうが梁だろうが、基本的には関係なく、
外壁からの距離が問題なのです。
この場合、
壁の断熱折り返しが45cmにしてあるので、
梁の断熱折り返しも45cmにするのが筋が通っています。
ここで、一緒に立ち会っていた売主側の設計者が助け舟。
「熱容量は関係ありませんね!」
と、常識ある答え。
しかし、その後がいけません。
「梁に断熱の折り返しをしないと何か問題ありますか?」
と挑戦的なお言葉が出てきます。
「では、このお部屋だけ断熱の折り返しを忘れているのではなく、
すべての所帯がそうなんですね!」
「そうです。そういった仕様ではありません!」
「パンフレットの挿絵では、スラブ下の断熱折り返しが描かれてますが・・・」
「戸堺壁とその上部の梁部分の挿絵はないと思います。」
うーん、確かに、その部分の挿絵はありません。
「では、戸堺壁は断熱折り返しがあり、
梁は断熱折り返しが無い理由をおしえてください。」
「・・・・・、でも、そういった仕様ですから直しません!」
私は、仕様というものは、
”考え方に筋が通っているかどうか。”
ということが大切だと考えています。
『パンフレットに挿絵が無い。あるいは、図面でそこまでは判断できない。』
ということを理由にしてほしくはありません。
”考え方”に筋が通っていれば、
自ずと技術的な説明ができるはずです。