【212時限目】 author アーキスケット 出口
ここは、大規模超高層マンション。
構造体の柱、梁、スラブには、
ふんだんに、惜しげもなくPC工法が採用されています。
PC工法とは、
正式名称をプレキャストコンクリート工法と言い、
現場でコンクリートを打設するのではなく、
工場で柱、梁、スラブを造ってしまい、
現場では、積み木細工のように、
組み立てていく工法です。
「えっ!積み木細工みたいだったら、簡単に倒れてしまうんじゃないの?」
なんて心配はいりません。
これらPCのジョイント部分は、
ジョイント筋(シース筋)などで接合され、
隙間にはグラウト材を注入し、
その打ち継ぎ部分には止水処理のためにシーリングがされ、
一体構造の構築物となるのです。
しかし、今回、内覧会検査をしたマンション、
この止水処理のシーリングが一切されていません。
「PC打ち継ぎ目地部分にシーリングがされていませんが・・・」
と、施工会社の立会者に尋ねると、
「このマンションでは、そういった仕様にしています。」
「打ち継ぎ部分の隙間から雨水が入り込み、
ジョイント筋(シース筋)などを錆びさせてしまうんじゃないですか?」
「無収縮のグラウトを注入しているから大丈夫です!」
「無収縮のグラウトといっても、わずかながら沈降するので、
隙間は生じますよ!」
「本社の技術部が大丈夫だと言っています!」
「そうですか・・・
今後、貴社のマンションではPCジョイント部分ではシーリングをしないのでしょうか?」
「今後の物件ではなんとも言えません。。。」
一般的に、雨水が入り込む隙間というのは、0.2mm以上の幅と言われています。
もし、施工会社の技術部がいうように、
無収縮のグラウト材の注入だけで雨水浸入を防げるのであれば、
大きなメリットがあります。
ひとつには、
”シーリング工事の費用が削減できる。”ということですが、
それ以上に、
マンション購入者にとって、
”大規模修繕においてシーリングのやり替えが必要なくなる。”
ということになります。
超高層マンションでは、足場等の仮設費用の削減にも繋がります。
これって、打ち継ぎ目地の進化なのかなあー?
ただ、これは、
無収縮グラウトの注入だけで雨水浸入が無いということが前提。
やはり心配が残ります。
このやり取りを心配顔で聞いていた、
マンション内覧会のご依頼者には、
「今後、この柱の打ち継ぎ目地部分から、
錆び汁が出てきてタイルを汚すようなことが出てきたら、
すぐに売主へ申し入れしてください。」
とアドバイスするしかありませんでした。
追記
ふと、『このジョイント筋(シース筋)、錆びない材料を使用すれば問題ないのかなー???』
と思いつきました。
もしかしたら、そういった材料を使用していたのかも。。。。
劣化の早いシーリングに頼らない止水が理想です!