【264時限目】 author アーキスケット 出口
内覧会のご依頼者とともにマンションに向かうと、
そこには、
15階建てのコンクリートの打ち放し化粧がふんだんに採用された
デザイナーズマンションが現れます。
外壁はよく見かけられるベニヤのコンクリート打ち放しだけではなく、
バラ板という昔ながらの型枠手法を使ったものや、
ハツリ仕上げという電動ハンマーとノミでコンクリート表面を目荒らしした手法が
雰囲気よくデザインされています。
マンション内覧会場で受付を済ませると、
先ずは共用部分からの案内順序です。
ゴミ置き場 → 駐輪場 → 駐車場と見学しますが、
どの部屋の壁もコンクリート打ち放しで、
東京お土産名物の雷おこしのようなジャンカやコールドジョイントといった
コンクリートの不具合は見られず、
見事な出来栄えであり、
細心の注意を払ったコンクリート打設であったことが伺えます。
さて、お部屋の中に入りバルコニーから検査スタート。
このバルコニーの隣戸境いにもコンクリート打ち放しの袖壁が採用され、
しかもその袖壁はバルコニーより出っぱており、
その先端は0cmから30cm程度のランダムに出っぱり・引っ込みのある
ハツリ&壊しのデザインとなっています。
この部分をよくよく見ると、
微細ながらも多数のクラックが・・・・
しかも、
ハツリ部分には撥水剤の塗布もされていません。
上下階との境を見ると、
打ち継ぎ目地がハツリ取られてシーリング防水の処置は何処へやら・・・・
これでは将来的に、
クラックやコンクリート打ち継ぎの肌別れ部分から雨が浸入し、
中の鉄筋を錆びさせコンクリートの爆裂に繋がりかねません。
チョット待てよ!!!
この袖壁の先端部分が、
0cmから30cm程度ハツリ取られているということは、
この部分に縦に通っているはずの鉄筋が無い!
せめて横筋は入っているんじゃないかと再確認しますが、
横筋を切断した痕跡も見られず、
もしかして、”無筋” だあー!!!
検査に立ち会った売主担当者に、
「ここの袖壁先端部分には鉄筋が入っていないんじゃないでしょうか?」
「そうですね、この形状からすると入っていないと思われますね。。。。」
「コンクリートの打ち継ぎ目地もハツリ取られているので
シーリング防水もされていませんね!」
「こういった形状だと打ち継ぎ目地の入れようもありませんね。。。。」
「今すぐどうにかなるということではありませんが、
10年後、20年後、コンクリートが爆裂して落下するリスクがあるかもしれませんね!
しかも、下は人の通る駐車場ですし。。。」
「大丈夫だとは思いますが・・・・・検討します。。。」
でも、今更どうしようもない???
駐車場の上にネットでも張るしかないのだろうか?
それともリスクを冒してでもそのままとし、デザインを優先させるのだろうか?
設計者の中には、
何が何でもデザイン優先という考え方をする者、
施工というものが全く解っていない者、
本当に大勢います。
最優先すべきことは構造や防水などといった基本的性能であるべきです。
そして、施工を理解し、
そのうえで最大のデザイン力を発揮してもらいたいものです!!!