« 2009年08月 | メイン | 2009年10月 »

2009年09月 アーカイブ

2009年09月29日

内覧会★同行日記 【エコカラットの厚さにご注意!】

【277時限目】                              author アーキスケット 出口

エコカラットを貼られる方が多くなってきました。

結露の軽減、消臭効果などがエコカラットの謳い文句ですが、
最近では、豊富なデザインが魅力的で、
お部屋のアクセントとして考えられる方も多くなったからではないでしょうか。。。。

そして、今回の内覧会同行のご依頼者も、
玄関とおトイレの壁にエコカラットをオプションとして貼っています。

さて、内覧会検査で、
そのエコカラットが貼られているおトイレに入ります。

見た目には、なかなか良いデザイン!

そして、そのエコカラットの壁には、
またまた、
デザインの良いタオルリングとペーパーホルダーが取りついています。

先ず、タオルリングを掴んでみると、
カクカク、カクカク・・・・
と、ガタつきがあるではありませんか!

施工会社の立会者に、
「このタオルリング、掴んでみるとガタつきますね。」

「そうですね・・・・」

「下地補強はしてあるんでしょうか?」

「ハイ、スタッドの間にベニヤ下地を入れてあります。」

「外れてしまうかも知れませんが、少し引っ張ってみても良いでしょうか?」

「それは、チョット困ります。。。」

「では・・・・」
と、今度はペーパーホルダーを掴みます。
すると、ほとんど力も入れていないのに、
スルッと壁から抜けてしまいます。

「アッ!!!」
と、これを見ていた内覧会同行のご依頼者。

ここで、スケールを取り出し、ビスの長さを確認します。

ビス長さは20mm、
ペーパーホルダーから出ているビス山は17mm程度。

エコカラットの厚さはいくつでしょうか?」

「さあー???」

で、エコカラットの小口で厚さを計ると5mm程度。
そして、壁の石膏ボード厚さは12mmが使用されています。

エコカラットと石膏ボードの厚さを足すと17mmあります。
 このビス長さではベニヤ下地まで届いていないですよね!」

「ペーパーホルダーに付随したビスですから。。。」

エコカラットの厚さを考慮したビス長さにするべきだったですね。」

「・・・・・」

「タオルリングの方も同じ状況でしょうね。」

「たぶん。。。」

「手直しをお願いしますね。」

「ボードアンカーで取り付け直します!」

「ボードアンカーじゃ、時間が経てば石膏ボードもボロボロになるんでダメですよ!
 本当にベニヤ下地が入っているんなら、長いビスにすれば良いだけですよ!」

「そうですよね。。。。」

「念のため、ベニヤ下地が入っていることも確認してくださいね!」

「ハイ。。。でも、エコカラットが貼られてしまっているので、
 どうやって確認したら良いのか???」

何とも世話が焼けます。

ここで、検査道具の”どこ太”君を取りだし、
エコカラットに開いたビス穴に針を刺してみます。

すると、17mm程度のところで針が止まるので、
ベニヤ下地は入っているようです。

「後は、ビスを交換すれば大丈夫ですね!」

「ハイ!」

2009年09月25日

内覧会★同行日記 【オプションだらけはミスだらけ】

【276時限目】                              author アーキスケット 出口

オプション・グレード変更、”46項目!”

マンション購入者が、
自分に合ったマンションライフを送るために、
真剣に間取り図と向き合ってきた様子が伺えます。

マンション施工会社の方も見落としや間違いが無いよう、
真剣にオプション・グレード変更工事を管理しなくてはなりません。

しかし、マンション内覧会でいくつかのミスが発覚します。。。

ミス その1.
南側バルコニーに面するリビングと洋室の間仕切りを撤去し、
全開放できるガラス引き戸に変更してあります。

「外壁側にあるガラス引き戸の縦枠すぐ横(20cm程度)のリビング側に
 クーラースリーブはありますが、クーラーコンセントがありません。
 この位置は、クーラーを取り付けない変更をしていますよね。」

「オプションを受付けた時期はコンクリート工事が終了しているので、
 クーラースリーブは残ります。」

「外壁側のクーラーキャップの取り付けは解ります。
 しかし、仕上げ工事では、
 部屋側は穴にロックウールを詰めボードで塞げたんじゃないですか?
 だって、クーラーコンセントは取り付いていなんですから・・・・」

「クーラースリーブだけは残す仕様にしています。」

何とも理解できない言い訳です。

「では、ガラス引き戸の縦枠すぐ横(20cm程度)の洋室側に
 クーラーコンセントはありますが、クーラーキャップがありません。」

一瞬、施工会社の立会者は顔色が変わります。

バルコニーに出て外壁側を覗くとクーラーキャップがあり、
コンクリート壁は穴が開いているようです。

「当然、部屋側にもクーラーキャップが必要ですよね!」

「ハイ。。。取り付けます。。。」


ミス その2.
洗面室で、壁に将来用手摺下地を取り付けるオプションになっています。

「この壁に将来用手摺下地がありませんよ!」

すかさず、施工会社立会者はすぐ横にある点検口を開け確認します。

「ここは、ユニットバスの操作盤があるので横型の手摺は取り付きません。
 壁の出隅部分で縦型の手摺を取り付けられるように変更してあります。」

「でも、手摺下地はありませんよね。」

「壁出隅部分のスタッドに手摺を留められます。」

「オプションの追加請求はされていますよね!」

「・・・・・」


ミス その3.
洗面化粧台が巾1.5mから巾0.9mのものに変更になっています。

「洗面化粧台の上にある2つのダウンライトが、
 洗面化粧台のセンター振り分けになっていませんね。」

「当初の洗面化粧台の巾に合わせた位置なっています。」

「巾が0.9mに変更になっているんですから、
 それに合わせるべきじゃないんですか?」

「ダウンライトの位置までは変更指示を受けていません。」

「当初1.5mの洗面化粧台の時のダウンライトの位置はどういう考えで決めていますか?」

「洗面化粧台のセンター振り分けです。」

「だったら、洗面化粧台の巾が変更されればそれに合わせるのが基本的な考えですよね。」

「・・・・、手直しします。」


オプション・グレード変更46項目に対し、
明らかなミスが3項目。

あなたは、この数を少ないと思いますか?

2009年09月21日

内覧会★同行日記 【車椅子の父親との同居住宅】

【275時限目】                              author アーキスケット 出口

今回の内覧会検査は、
ご依頼者夫婦と車椅子生活をされているお父様が同居する注文住宅です。

現地へ行ってみると、
住宅自体は完成しているものの、外構工事は全く手つかず。
別契約で請け負ってくれる業者を選定中とのことです。

内覧会検査前、ご依頼者より、

「今まで細かい打ち合わせをしながら進めてきましたが、
 色々と問題がありました。」

「どんなことがあったんですか?」

「2階の窓の位置は間違えるし、
 バルコニーのFRP防水が不良で1階の父親の洋室に雨漏れするし、
 父親用の洗面室引き戸は、実際、車椅子が通らない大きさのものを付けるし・・・・」

その他たくさん、工事中の経緯の説明があります。
その後ろでは、注文住宅メーカーの担当者が憮然とこのやりとりを聞いています。

「現段階では、解決しているんですか?」

「一応、手直しはしてもらっています。。。」


何とも雰囲気の悪い中、内覧会検査のスタートです。

「このウォークインクローゼットの天井高さが図面と違いますね!」
と、注文住宅メーカー担当者に尋ねます。

「意匠図と構造図で整合性が取れていませんでした。
 〇〇さんには説明し了解をとりましたが、
 その代わりといって、洋室間の間仕切りに遮音仕様をサービスさせられました。。。」

「・・・・・・」

その他、指摘を挙げるたびに一言があり、
注文住宅メーカー担当者も、
色々と言い分が溜まっているようです。

お部屋の中の検査を終え、住宅の外観検査のために外に出ます。

玄関扉と道路との高さの差が60cm程度。
建物外壁と道路までの幅が50cmから70cm程度(斜めな形状)。
車椅子用のスロープが可能な長さは2m程度(車椅子の幅がぎりぎり確保できる幅)。

外構工事は契約外というものの、
これでは、車椅子用のスロープは出来ないんじゃないの?

バリアフリー設計では、
・スロープ勾配 1/12
・スロープ幅 80cm
程度が必要なのです。

「お父様が車椅子を使用されているのは知っているんですよね。
 これでは、スロープが出来ませんよ!」
と、注文住宅メーカー担当者に尋ねます。

「ハイ、知っておりました。
 でも、建物の位置を指定したのは〇〇さんで、
 スロープは現況で造れるもので造るから良いという指示です!」

「そういった指示はしたんでしょうか?」
と、ご依頼者に尋ねます。

「・・・・・、でも、車椅子で通行は出来ると思っていました。。。」

「設計者や住宅メーカーは専門家なのですから、
 例えご依頼者の指示があったとしても、十分な説明義務がありますよ!」

「でも、これまでの経緯の中で決めたことですから!」

ご依頼者も自分が指示した手前なのか?あまり強気ではありません。

どうしてなの?

その後、話を聞いていると、
隣の家の塀が越境しているので、
それに合わせた位置でスロープを造るつもりだったらしいのです。

「違法なスロープをそちらの住宅メーカーで請け負いますか?」

「当然、請け負いません!」

私からご依頼者に、
「違法なことは絶対にしないでください!」
と説得。

結局、現況でできるスロープということで、
手摺も取り付かない急勾配な車椅子用スロープを造るとのこと。。。。

お父様は、自力ではスロープを上がることは出来ず、
大人2名の手を借りなければ外出できません。

日中はご依頼者の奥さんしかいないというのに・・・・・

改善策が見つからない、
何とも後味の悪い検査結果となりました。


2009年09月17日

内覧会★同行日記 【ドレーン排水2重溝】

【274時限目】                              author アーキスケット 出口

マンション内覧会で、
ご依頼者と施工会社の立会者とともにエレベーターを降ります。

正面にはご依頼者のお部屋、
左側には屋外階段、
右側にはT字型の共用廊下が続きます。

このエレベーターホール床の水勾配は複雑だよなあー。。。

見た目の感覚では、どうも水勾配が確保出来ているのか、チョット怪しい。。。

お部屋の内覧会検査が終わったら、レーザーレベルで水勾配を確認しよっと。。。


そして、ひととおりのお部屋の内覧会検査が終わって、
レーザーレベルを抱えエレベーターホールに出ていきます。

エレベーター扉の前には排水溝がないため、
エレベーターホール、共用廊下、外階段の踊り場がからみあった床の水勾配を、
一層、複雑なものにしています。

クーラーのドレーン排水溝はというと、
廊下からエレベーターの扉へ進み、
そこで直角方向へ右に折れ曲がり、
途中から、”への字”に再び折れ曲がり、
外階段の排水溝へ放流する形状になっていて、
その水勾配の複雑さを物語っています。


レーザーレベルをセットし、
50cm間隔程度でドレーン排水溝にスケールを当てていき、
水勾配が確保されているのか確認していきます。

うーん・・・、なんとも、ビミョー。。。

逆勾配にはなっていないようですが、
ほぼフラットな個所もあり、
『水が本当に流れるのだろうか?』
と、なんとも怪しい。

と、思っていると、
この長尺シートを3cm程度の幅でカットしただけのドレーン排水溝の中に、
幅5mm程度の排水溝があるではありませんか!

これは、
ハンディータイプのダイヤモンドカッターで溝を作った痕跡。

さては、水がうまく流れなかったんだなあー。。。

と、内覧会のプロなら見抜きます。


施工会社の立会者に、

「このドレーン排水は2重溝になっていますね。」

「あっ、ハイ。。。」

「水がうまく流れなかったんですね。」

「実は、水を流してみると、長尺シートの方へ水が広がってしまったんです。」

「これでは、一見して、”水勾配を失敗した!”と解ってしまいますよね。
 溝全体を削り取って少し下げれば良かったんじゃないですかね?」

「売主とも相談したんですが、
 溝を下げると歩行中につまづいてしまう危険もあるので、
 ダイヤモンドカッターで2重溝にしました。。。」

うーん。。。それも一理あります。

となると、根本的な手直しするには、
この広いエレベーターホールや外廊下、階段踊り場の床全体を造り替えるしかありません。
しかも、同じような失敗が合計3フロアーあるとのこと。

でも、それでは”大変!”と、
売主も2重溝で妥協したのでしょう。


今後、ここを通る人達に、
「このドレーン排水溝は水勾配を失敗しているぞ!
 どこの施工会社だったっけ?」

なんて思わせるような失敗作が、
半永久的に披露されることになりました。

2009年09月14日

内覧会★同行日記 【解っちゃいたけど面倒くさい】

【273時限目】                              author アーキスケット 出口

最近、
ミョーに、ある住宅メーカーの内覧会同行のご依頼がダントツに多い。

この1か月でも3件目。
調べると、この1年でも14件目。

そして、内覧会同行のご依頼をいただく時にほぼ共通していることが、

「インターネットを見ていると、評判が悪い業者みたいで心配なんです。。。。」


私自身、インターネットで
その業者の評判を見ることはあえてしないのですが、
これまでに、この住宅メーカーの内覧会に同行をした印象としては、

担当者の態度や口のきき方に問題が・・・・

全員が全員ということではありませんが、
社員教育で、
『あえて、そういった対応をするように教育されているんじゃないの?』
と、勘ぐってしまいたくなるほどです。


で、その住宅メーカーの内覧会検査です。

「ポーチの階段側面部分がモルタル仕上げになっていますが、
 立面図ではタイル貼りになっていますよ!」

「現況渡しですよ!」

「駐車スペースの照明器具が壁付けになっていますが、
 電気図では天井付けになってますよ!」

「現況渡しですよ!」

確かに図面には、

”現況と図面が異なる場合は、現況を優先とします。”
と明記はされています。

でも、それって正当な理由があって、
変更せざをえなかった時の場合のことを言うんじゃないの?

何でもかんでも、
水戸黄門様の印籠のように、
”現況渡し”をふりかざしてほしくない!

でも、内覧会同行のご依頼者は納得し(妥協?)、
現況のままということに。。。


次に、”現況渡し”を理由にできない指摘です。

「リビングにあるアルミサッシのビス締めが甘いですね!」(3mm程度浮いている。)

「そうですね。締め付けますよ!」

「洗面室にあるアルミサッシのビス忘れが6箇所もありますよ!」

「本当ですね。ビス締めしますよ!」

「この玄関ドアにもビス抜けが4箇所ありますね!」

「ビス抜けがあるのは解ってましたけど、
 どうせ内覧会検査をすれば指摘が挙がるだろうし、
 ”面倒くさい”から、後でやれば良いやと思ってましたよ。。。」

面倒くさい???

なんという言い草だろう!

しかも、内覧会同行のご依頼者もいる前で!


このビス忘れは、
内覧会同行のご依頼者は全く気付かなかった指摘です。

もし、私が指摘を挙げなかったならば、
この”面倒くさい”手直しがされたのかどうか???

その対応や口の聞き方が、
インターネットでの悪い評判になっているのかも知れません。

2009年09月09日

内覧会★同行日記 【壁タイル下地はALC?】

【272時限目】                              author アーキスケット 出口

マンション内覧会同行のご依頼者から送付されてきた間取り図を
事前にチェック。

バルコニー部分の構造体の表記を見ると、
柱は鉄筋コンクリート、
梁も鉄筋コンクリート、
壁はALC、
そして、外装仕上げはすべてタイル貼り。

でも、この柱ヨコの袖壁は、本当にALCで良いの?

で、マンション内覧会当日、
早速、バルコニーのチェックを行います。

先ず、見た目で袖壁はALCでないことが解ります。

タイルで隠れているのに何で解るの?

と聞かれそうですが、
コンクリートとALCの取り合い部分では、
タイル目地の替わりにシーリングがされるはずなのです。
しかし、この柱と袖壁の取り合い部分にシーリングはされていません。
ということは、柱も袖壁もコンクリートなのです。

念のため、
検査道具の”打診棒”で壁を叩いてみると、
音感でコンクリートに間違いなし!

図面と違うぞ!


施工会社の立会者に質問します。

「間取り図では、この袖壁はALC表記ですが、実際はコンクリートですよ!」

「袖壁は20cm程度なので、ALCにすることはできません!」

その通り!!!

ALCは、製品として巾600mmなのですが、
切断加工して使用する場合でも強度上巾を300mm以上にしなければなりません。
この壁は、もともとコンクリート壁でなければならなかったのです。

「では、間取り図の表記が違うということですね!」

「ハイ・・・訂正します。。。」


次に、リビングのアルミサッシと洋室のアルミサッシの間にある壁に目を移します。

「この壁は、タイル縦目地60cm以内ごとにシーリングがされ、
 梁下と壁の取り合いにもシーリングがされているのでALCですね!」

「ハイ、これは間取り図どおりALC壁です。」

「でも、壁の下部は長尺シート水上端部のシーリングだけですね。」

「そうですね。。。」

「ALCを乗せるコンクリート基礎はないのですか?」

「・・・・・」


このALC基礎コンクリートというのは、
バルコニー床のウレタン防水を立ち上げるためのものです。

再び、
タイルで隠れているのに何で解るの?

と聞かれそうですが、
もし、コンクリート基礎があれば、
そのコンクリート基礎天端とALC下部の取り合いで、
タイル横目地にシーリングがあるはずなのです。


「まさか、ロッキング工法のALC壁に
 ウレタン防水を立ち上げているなんてことはありませんよね!」

「・・・・・」


ここで、ロッキング工法のALCとは。

簡単に言うと、コンクリートの梁からALC壁を吊って、
コンクリートの柱や梁と縁を切っている構造であり、
地震の時などは、
コンクリートの柱、梁、床とALC壁は違った動きをさせるためのものです。
ということは、
ウレタン防水をコンクリート床からALC壁に立ち上げてしまうと、
防水が切れてしまい漏水してしまうということになりかねません。

ここで再び、検査道具の”打診棒”登場!

そして、壁の下の方を叩いてみると、
音感でコンクリートに間違いなし!

10cm程度、ALCコンクリート基礎があることが解ります。

施工会社立会者の説明とは違うものの、
常識ある施工がされています。

んっ!待てよ!

ならば、基礎天端とALC下部の取り合い部分(床から10cm程度の高さ)で、
タイル横目地がシーリングになっているはずです。

でも、シーリングにはなっていない!

「この部分のタイル横目地は撤去し、シーリングにする必要がありますよね!」

「ハイ、手直しいたします。。。」

2009年09月06日

内覧会★同行日記 【対応は大工さんにお任せ!】

【271時限目】                              author アーキスケット 出口

一戸建て住宅の内覧会。
場所は東京郊外。
この地域での内覧会同行は初めてで、
売主、仲介会社ともにジモティー業者です。

「よろしくお願いします!」
と、売主担当者の女性が挨拶しながら名刺を差し出します。

肩書きは、”2級建築士”!!!

「よろしくお願いいたします!」

「私は何にも解りませんので、
 この建物を造った大工さんにも内覧会検査に立会いしてもらいます。」

第三者による内覧会検査が初めての経験ということで、

”自分だけでは対応の自信がありません。”

と言っているかのように大工さんを紹介してくれます。

「よろしくお願いします!」
と、年配の大工さんに挨拶します。

先ずは、屋根裏収納からの内覧会検査スタート。

梯子を上がり屋根裏収納部屋に入ると、
”ムッ”と、蒸し厚さを感じます。
この夏の暑いさなかで仕方がありません(?)。

壁に取り付けてある点検口を開け屋根裏の状況を確認します。

すると、屋根裏収納外周の壁裏に断熱材が施されていません。
この、”ムッ”とした蒸し厚さはこれが原因か。。。

今どき、屋根裏収納の壁の断熱材は一般的になってきていますが、

「そちらの仕様では屋根裏収納の壁には断熱材を取り付けない仕様なんですか?」
と、女性2級建築士さんへ確認します。

「屋根裏収納はオプションなので、
 その仕様は大工さんに任せています!」

何を言っているのだろう?
仕様を決定するのは売主でしょっ!
オプションかどうかは関係ないでしょっ!

「基本的には、生活空間を断熱材で囲う必要があると思いますよ。
 屋根裏収納の壁に断熱材を入れていないと、
 外部 → 屋根裏 → 屋根裏収納部屋 → 洋室 
 との間に断熱材が存在しません。」

ここで、大工さん登場!
「ごもっとも!断熱材は簡単に取り付けられるし、やりますよ!」
と、女性2級建築士さんを、
すかさずフォローです。

さすが!年期の入った大工さん。
この一言で、一件略着!

でも、この女性2級建築士さんはうかぬ顔。
暑さのせいか?冷や汗か?
顔中、汗だらけになっています。


次におトイレの検査です。

「このトイレの壁は構造壁ですよね!
 収納ボックスが埋め込まれていますが問題はありませんか?」

「この収納ボックスもオプションです。
 取付位置は大工さんが決定しています!」

やはり、的外れな女性2級建築士さんの回答です。

「大きなボード開口は問題はありませんか?」

これは、女性2級建築士さんが設計者に電話連絡で”問題なし”との回答を得ます。

「では、この壁にブレースが入っているはずですが、
 収納ボックスとの取り合いは大丈夫ですか?」

ここで理解の早い大工さんが、
スケールを定規に、
「ブレースはだいたいこの位置に入っています!
 ぎりぎりですが、収納ボックスを避けています!」

実際に建物を造った大工さんが、
ここまでして証明してくれたので安心です。

「でも、壁を見ながら、そんなことまで考えて検査しているんですか?」

「ハイ。。。!!!」

ここでも、女性2級建築士さんは蚊帳の外で、うかぬ顔。


次にリビングダイニングの検査です。

「このフローリングの隙間が大きいと思います。」と指摘します。
実際、隙間は2mm程度、下地が僅かに顔を出しています。

「この程度は許容範囲ではないでしょうか?」
と反論しつつ、大工さんの顔色を伺います。

「確かに隙間が大きいですね!直しますよ!」
と、大工さんのきっぷの良い返事。

「少し厳しい指摘かも知れませんが、よろしくお願いします!」


内覧会検査はここで終了。

その後、この女性2級建築士さんは、
内覧会同行のご依頼者と、
契約上のやり取りで本領発揮!

顔の汗もひき、活き活きした顔で説明しています。

でも、それって大事な仕事ではありますが、
2級建築士の仕事というより事務処理的仕事です。

建築士の知識というものは、
机上の知識も大事ですが、
”経験工学”と言われるほど、実践の勉強が大切です!

是非、是非、
”2級建築士”の資格をペーパードライバーにしてほしくはないものです。
だって、資格試験の時は、
必死に頑張って合格したのでしょうから。。。。

2009年09月02日

内覧会★同行日記 【給気口は三位一体が必要】

【270時限目】                              author アーキスケット 出口

マンション内覧会で共用廊下に面した洋室の検査です。

お部屋に入ると、
共用廊下側の壁中央にカウンター付きの腰窓。
その左側の壁には、
上下に2個、点検口が取り付けられています。

そして、上側の点検口の上にはクーラーキャップ。
上下2個の点検口の間には換気レジスター。
ということで、
ここは、クーラー配管用のパイプシャフトになっています。

パイプシャフトの奥行は50cm程度。
室外機置場の確保に合わせた寸法になっています。

さて、このパイプシャフトの中の状況はどうなっているだろうか?
と、点検口を開けてみます。

外壁ALCに断熱材のウレタン吹付けがされています。
ウレタン吹付けの厚さや吹付け範囲は問題なし!

次に、クーラー配管用の穴に目をやると、
クーラーキャップはあるものの、
スリーブ(塩ビパイプ)は取り付いておらず、
そして、ALCの切断小口に補強筋が露出しています。

錆び止めくらいしてほしいよな!

出来れば、断熱・遮音・延焼防止のためにロックウールを詰めてあれば良いのですが・・・・
しかし、『どうせ、クーラーを取り付ければ撤去するのだから。』と、
そこまで配慮されているマンションはめったにお目にかかりません。

次に、換気用の穴に目をやると、
クーラー用の穴と同じ状況。

ベントキャップはあるものの、
スリーブ(塩ビパイプ)は取り付いておらず、
やっぱり、ALCの切断小口に補強筋が露出しています。

でもでも、これではNG!

給気口は、
ベントキャップ(外壁側)+スリーブ(外壁からボードまでの間)+レジスター(部屋側)と、
三位一体が必要なのです。

施工会社の立会者へ、

「クーラースリーブと給気口のALC穴のところで補強筋が露出してます。
 錆び止めをお願いします。」

「そうですね!解りました!」

「でも、給気口の方はALC穴の小口自体が見えることがオカシイと思いますよ!」

「???」

「スリーブでベントキャップと換気レジスターを繋ぐ必要があるんじゃないですか?」

「このパイプシャフトは奥行が大きいのでガタつくので取り付けていないかもしれません。」

この施工会社の立会者、
スリーブの必要性の意味が解っていない!

「これでは、外気がパイプシャフトに入ってしまい、
 ALCに吹き付けたウレタン断熱の意味がなくなりますよ!」

ここで断熱材とは、
外部温度と内部温度の差を断熱材で遮断し、
結露を防いだり、温度環境を良くするためのものです。

しかし、ウレタン断熱材の外側(廊下側)も内側(部屋側)も、
同じ外部温度にしてしまっては、
断熱材を行った意味がなくなります。

しかも、
パイプシャフト内では空気の対流も少なく、
結露してしまう可能性も大きいのです。


この説明を受けて施工会社の立会者も納得。

「スリーブを取り付けます!」

「ここのお部屋だけではなく、他の所帯でも同じような状況ではないでしょうか?」

「他のお部屋は大丈夫です!」


この、「他のお部屋は大丈夫です!」の即答、
皆さんは信用できますか?

About 2009年09月

2009年09月にブログ「内覧会同行ブログ by アーキスケット」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2009年08月です。

次のアーカイブは2009年10月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。