【304時限目】 author アーキスケット 出口
デザイナー系設計事務所が設計した6世帯からなるコーポラティブハウス。
構造は鉄筋コンクリート造3階建て、
各世帯がメゾネット形式であり、
複雑に世帯間が入り組んでいる設計です。
この構造体部分は
設計事務所一丸となって総合的に計画されたようですが、
各世帯のインフィル部分は
その設計事務所の各個人がそれぞれ担当し設計しています。
このうち、2世帯から
コーポラティブハウス内覧会同行のご依頼。
そして、事前に設計図などの資料が送付されてきます。
世帯A
『こんな設計図で建物が出来るのかなあー?』
というのが第一印象。
CADで描かれているものの、
スカスカ図面。。。
部屋名は全て記載されているものの、
寸法の記載はごくわずか。
1階と2階の全てで寸法記載が55箇所。
まだまだ、記載しなくてはならない寸法はその何倍もあるはずです。
その他の図面は存在しない。
なんとも稚拙。
まるで、建築学科に学ぶ劣等生の図面です。
世帯B
『もしかして、プレゼンテーション用の図面?』
というのが第一印象。
見栄えはよろしい。
写真がふんだんに採用され、
部屋の展開図などには、人の絵までがふんだんに記載されています。
納まり図もある程度記載されているのですが、
机上の絵空事。
まるで、建築学科に学ぶ優等生の図面です。
いずれにしても、
施工者は大変な思いでこのコーポラティブハウスを造っているんだろうなぁー。。。
そして、この2世帯分の内覧会当日です。
検査には各世帯ごとで、
設計担当者も立ち会ってくれます。
どちらとも予想どおり若い!!!
そして内覧会検査スタート。
いずれのお部屋でも、
指摘、確認事項がいっぱいいっぱい出てきます。
・最下階の土間コンクリート下には断熱材が入っていない。
・コンクリート打ち放しの壁仕上げ面に構造スリットが醜く露出。
・連装アルミサッシの結露水抜き穴からの出口が無い。
・バルコニー防水がドレーン金物に取り合っていない。
などなど、キズ・汚れ以外で100項目ほど。
やはり設計上の問題が出てきます。
中には、施工者の問題もありますが・・・・
これらの指摘を挙げると、
世帯Aの設計担当者は、
劣等生らしく、
指摘の意味を理解せずに、「問題でもあるんですか?」と的外れな言い訳。
世帯Bの設計担当者は、
優等生らしく、
指摘を謙虚に受け留め、「検討して対応します。」と模範解答。
やはり設計図で大切なのは寸法、仕様、納まりです!
建築は経験工学とも言われます。
この若手設計担当者にとって良い経験であったと思ってもらいたい。
内覧会終了後、
多くの大学の講師などを務める設計事務所の代表者から、
『今日は本当に勉強になりました。』
10時にスタートした内覧会検査は、今、夜の7時30分です。
お部屋を出ると、
お隣の世帯Cの奥さんが、
世帯Bの奥さんが持っていた設計図を見て、
『Bさんのところは、そんなに図面が多くあったんですか?
うちの設計図は、そんなに多くはありませんでしたよ!』
どうやら、Cさんのところは、
建築学科に学ぶ劣等生の図面だったようです。