« 2010年03月 | メイン | 2010年05月 »

2010年04月 アーカイブ

2010年04月25日

内覧会★同行日記 【その手直し、本当にできるの?】

【329時限目】                              author アーキスケット 出口

ここは、マンションのルーフバルコニー。
アスファルト防水の上にシンダーコンクリートが打設されている仕上げです。

壁にはアゴがあり、
その下部で露出アスファルト防水が立ち上がり、
端部金物押さえとアスファルトコーチングと言うシーリングがされています。

アゴ下に水切り目地がちゃんと取り付いているのかなあーと、
点検鏡で確認していきます。

すると、
1スパン分(柱から柱まで)、水切り目地がありません。

施工会社の立会い者に、

「この範囲のアゴ下に水切り目地が入っていませんね。」

すると、手探りで水切り目地が入っていないことを確認していきます。

シンダーコンクリートとアゴ下の隙間が15cm程度しかなく、
覗き込むわけにもいきません。

「点検鏡を貸しますよ!」

「ありがとうございます。」

で、改めて点検鏡を使って確認し、
「確かにありませんね。」

「水切り目地を取り付けてもらえますか?」

「ハイ、目地棒を取り外せば良いだけですから。。。」

「もう一回、点検鏡でよーく見てください!
 目地棒が埋まっている痕跡がありませんよ!」

目地棒が埋まっているのなら、
少し色が違うとか、釘が出ているはずなのです。

しかし、その痕跡が見当たらないのです。
ということは、
目地棒の入れ忘れ。。。

「直してもらえるのでしょうか?」

「ハイ、直します!」

「どうやって?」

「・・・・・・」

この水切り目地を設ける手直しは、

ハンディータイプのダイヤモンドカッターでコンクリートを切断し、
ノミで溝部分のコンクリートをはつり取り、
目地棒をモルタルで埋め込まなくてはなりません。

しかし、隙間が15cmしかないのです。

覗き込むことすらできない場所で、
こんな作業ができるのでしょうか?


マンション内覧会のご依頼者に了解を取った上で、

「水切り目地の目的は雨水がアゴを伝わって
 防水端部のアスファルトコーチングに行かないようにするためです。
 見えない場所でもあるので、
 小さなアルミアングルをシーリング材で全面接着してください!」

「その方法でよろしければ手直しさせていただきます。」


内覧業者は、
不具合をただ指摘するだけでは務まりません。

手直しが非常に困難な不具合だって発見するケースも多々あるのです。

こんなとき、
「設計図どおりに直してください!」
と突っぱねるのは簡単。

しかし、現実を見て、手直しの代案を提案したり、
施工会社あるいは売主と協議することが出来なくてはなりません。


ということは、
相手と同等以上の技術的実力がないといけませんね。

日々、経験と勉強です!!!


2010年04月21日

内覧会★同行日記 【設計図と見比べると・・・】

【328時限目】                              author アーキスケット 出口

一戸建て住宅を購入したとき、
素人に解りやすい、
配置図、平面図、立面図、断面図、矩計図、仕上げ表は渡されても、
構造図は渡されないケースが多くあります。

どうせ素人には構造図は理解できないから?

万が一、構造的な瑕疵が発見されたらマズイから?

どんな理由か解りませんが、
一戸建て住宅を購入されたら、
構造図も入手されることをお勧めします。


今回の一戸建て住宅内覧会では、
ご依頼者から事前に構造図も送付されてきます。

基礎図、各階の床伏図、軸組図・・・

さて、内覧会当日、
現地に赴くと、

設計事務所の課長さん、
設計事務所の担当者さん、
売主営業担当者さん、
売主施工担当者さん、
仲介業者さんが、
勢ぞろいでお出迎えです。

「今日は、よろしくお願いします!」

と、お互いが挨拶を交わし内覧会検査スタートです。

一見、お部屋の仕上げは丁寧に施工されているのが感じ取れます。


しかし・・・・

物入れ内の壁・天井仕上げが化粧ボードのはずがクロス貼り。
洗面室にタオル掛けがあるはずなのに取り付いていない。
煙感知器が図面の位置と異なり設置基準を満たしていない位置にある。
外構ポーチ周りで土間コンクリートのはずが砂利敷きになっている。
駐車スペースの土間コンクリートと砂利敷きの見切りとしてあるはずの縁石が無い。

設計図面と見比べなければ解らない指摘が挙がります。


さらに・・・・

せっかく、構造図を送付していただいたのだからと解る範囲でチェックしよう!
と、床伏図を確認しながらお部屋をチェック。

床伏図には、
▲、△、〇、◎など壁倍率を示した耐力壁のマークが記載されています。
そして補足欄には、
『石膏ボードはビス間隔四周@15cm』との記載。

木造住宅では、
壁量計算をするうえで壁倍率といった割増しをするために、
面材の仕様やビス留めなどの規定を守らなければならないのです。


一通りの内覧会検査終了後、
指摘事項の説明です。

「この壁は耐力壁ですよね!」

「そうですね。。。」と、設計者。

で、内覧会検査七つ道具を入れてある袋から、
おもむろに、
ホワイトボードでよく使われるマグネットをいくつか取り出します。

そして、壁にマグネットを這わせていきます。
すると、ビスがあるところではピタッとマグネットが貼りつくのです。

設計事務所の担当者さんはマジックでも見ているかのように目を丸くし、
その行動を眺めています。

そのマグネットを5つほど貼りつけたところで、
スケールでその間隔を確認。

「ビス間隔が20cmになっていますね。」

「・・・・・」

「構造図ではビス間隔は15cmとなっていますよね。」

「・・・・・ハイ。。。。」

「手直しよろしくお願いします!」


後日、設計事務所の担当者さんからのメールです。
そこには、

・壁クロスを剥がしている写真
・ビスを打ち増ししている写真
・クロスを貼り直した写真

が添付されていました。

2010年04月16日

内覧会★同行日記 【バルコニー長辺方向クラック】

【327時限目】                              author アーキスケット 出口


コンクリートを現場で流し込む、
昔ながらの在来工法マンションの内覧会です。

バルコニーに出て、
天井の状況を確認すると、
壁際(梁際)に沿って
長辺方向にクラック(ひび割れ)が発生しているのです!

よくよく見ると、
長さ2m程度で明らかにコンクリートに口が開いているものが1本。
長さ1m程度で塗装補修がされているものが2本。


稀にではありますが、
壁(梁)からバルコニー先端に向かって走っているクラックを見かけることがあります。

この原因として考えられるのは、
コンクリートの乾燥収縮や温度収縮といったもので、
これが原因ならば、
大きな構造的な欠陥ではないと言えるでしょう。

しかし、この壁際の長辺方向クラックは、
めったにお目にかかれるものではありません。

というより、初めて見ました。。。。


ひととおりの検査を終え指摘事項の説明です。

「このバルコニーの天井に壁際に沿ってクラックがありますね。」

「私も気付きました!!!」
と、ご依頼者。

「で、どのように補修するんですか?」

「モルタルというので補修して塗装をしてくれるそうです!!!」
と、施工会社の回答の前にご依頼者が答えます。

施工会社の立会い者はうつむき加減。。。

「あなたは建築の技術屋さんですよね?」

「・・・・ハイ。。。」

「だったら、このクラックが意味していることは解りますよね。」

「・・・・ハイ。。。」


この壁際の長辺方向クラックの意味するところは、

構造的に問題があるかも知れない!!!

・もしかして、コンクリートが所定の強度に達する前に支保工を外してしまって、
 バルコニーの床が若干下ってしまった。

・もしかして、バルコニーの床に許容以上の重たいものを乗せてしまって、
 バルコニーの床が若干下ってしまった。

・そもそも、鉄筋量が少なかった、あるいは鉄筋施工が不良であった。

などの原因の可能性だって考えられるのです。


「あなた一存の判断で良いのですか?」

「後で所長に話をしようとは思っていました。。。」

「是非、相談してください!」


で、後日ご依頼者からの報告。

施工会社の現場担当者(所長含む)だけではなく、
本社の技術部なども調査を行った結果、
乾燥・収縮との判断です。
で、補修は表面のモルタル塗りのうえ塗装とのこと。。。


相手は名の知れたゼネコン。
原因の追及は任さざるを得ず、
私はこれ以上何も言うことはありません。

でも、
現状の3本のクラック跡のうち、
1本は補修後に口が開いて再発しているのです。

今後、クラックが再発した場合、
毎回毎回、応急的補修を繰り返すのでしょうか?

万が一、原因が乾燥収縮によるものでなく
構造的欠陥だって捨てきれないことも考え合わせれば、
樹脂注入程度のことを行っても良いと思いますが・・・・

2010年04月09日

内覧会★同行日記 【再会。。。】

【326時限目】                             author アーキスケット 出口

「マンション内覧会なんですが、
 コミュニティーサイトでマンション内覧会の評判が非常に悪いんです。。。
 心配なのでマンション内覧会に同行してもらえませんか?」

「是非、同行させていただきます!」

「前もって、そのコミュニティーサイトでその評判を見ておいてください!」


私は、通常コミュニティーサイトは見ないのですが、
ご希望があったということもあり事前に確認します。

確かに評判が悪い!

でも、その評判の悪さは、キズ・汚れです。


マンション内覧会当日の検査です。

確かに評判通り、キズ・汚れの指摘はたくさん出てきます。
でも、それ以上に、
図面との相違、パンフレット仕様との相違、ありえない納まりなどなど・・・・
内覧会のプロから見ると、
もっと、もっと大きな問題点が発見されます。

4回目のこのマンションの内覧会同行で、
検査終了後、内覧会場で協議・確認を終えると、

向こうの方から、
つかつかつかと、
年配の方がこちらへやってきます。

名刺を差し出しながら、
「私、このマンションの統括所長〇〇と言います。
 これまで何度か内覧業者さんのやり取りを聞かせていただくと、
 信頼できそうなのでお尋ねします。
 このマンションの出来はどうなんでしょうか?」

「統括所長自身でひとつのお部屋でもいいですから検査したことありますか?」

「・・・・・」


あれから1年半後。。。。

新たな新築マンションの内覧会です。

受付で内覧レディーが、
「ご無沙汰しています。こちらのマンションでも検査依頼があったんですか?」

「ハイ、またよろしくお願いいたします!」

で、内覧レディーとともにお部屋に向かいます。
途中、
「このマンションは評判が良いんです!!!
 これまでの内覧会では指摘もほとんど挙がっていません!」

「そうなんですか。」

「ここの施工会社の責任者が厳しい人みたいで、
 徹底的に事前検査を行っているんです。」

「それは良いことです。」

で、お部屋に入り検査を進めると、
内覧レディーが言うように、
お部屋の中は指摘がほとんどありません。本当に素晴らしい出来です。

検査を終え、内覧会場でのまとめを終了し、
「本日はありがとうございました。」
とお開きの挨拶です。

すると、向こうの方から、
つかつかつかと、
年配の方がこちらへやってきます。

名刺を差し出しながら、
「私、このマンションの責任者で統括所長の〇〇と言います。
 前のマンション内覧会ではありがとうございました。」

そうです。1年半ぶりの再会です!

「あの時の統括所長ですか!?」

「ハイ、このマンションはどうでしたか?」

「お部屋の中は素晴らしい出来ですね!」

「ありがとうございます!」

「でも、2階外廊下の外壁側タイルの伸縮目地を1本忘れていますね。。。」

「えっ!」

この階だけタイル伸縮目地が入っていないなんて、
施工上、ありえない。
(上の階から下の階まで水糸を張るので。)

理由はともかく、
この手直し、結構大変。
足場を作らないといけないし。。。
目地調整のため、タイルをある程度の範囲で貼り直さないといけないし。。。


今度、この統括所長と再会するマンションでは、
お部屋の中も、共用部分も、
素晴らしい出来のマンションになっていることでしょう!?

2010年04月05日

内覧会★同行日記 【前代未聞のアスファルト防水】

【325時限目】                              author アーキスケット 出口

最上階にあるマンションのお部屋に入ると、

リビングは天井高さ3.6mの吹き抜け、
その横にはメゾネット形式の洋室やロフト、
さらに室内階段を上がっていくと、
リビングの上の屋上ルーフバルコニーに通じるAD(アルミドア)があります。

ルーフバルコニーから内覧会検査を進めようと、
ADの扉を開けると、
AD下部にある水切り金物の幅が広い!

外部から眺めると、
5cmも壁からハネ出しているのです。

その水切り金物の上を踏んでみると、
大人の体重では簡単に凹んでしまいます。

水切り金物の出寸法を
アスファルト防水の為の欠き込み部分の壁ではなく、
外壁タイル面に合わせてしまった間違いだな!

でも、
今更、水切り金物を取り替えられないので、
水切り金物の下にモルタルでも詰めれば良いのかなと、
這いつくばって水切り金物の下を覗き込みます。

ここまでは序章。

ここで、
このルーフバルコニーの防水は、
アスファルト防水にシンダーコンクリート。
壁への立ち上がりは砂付きルーフィング(防水材)露出仕上げとなっています。

ところが、
このAD水切り金物の下の10cm程度の壁立ち上がり部分では、

砂付きルーフィングが立ち上がっていない!
しかも、
レンガブロックが露出しているという前代未聞の光景!
これじゃー、
いつ漏水してもおかしくはない!

目立たない場所なので、
もしかして砂付きルーフィングの貼り忘れ!

でも、端部押さえ金物もアスファルトコーチングもAD横で止まっている。

次の作業工程、次の次の作業工程でも気がつかなかったの?

防水業者の手抜き工事としか言いようがありません。


内覧会検査に立ち会った施工会社担当者に確認してもらうと、

「手直しさせていただきます。。。」

「どうやって手直しするんですか?」

「・・・・・」

「アスファルトルーフィングの重ね代は10cm以上必要です。
 ということは、
 シンダーコンクリートを壊し、
 既存のアスファルト防水を出さなければなりません。
 しかも、シンダーコンクリートを壊す時に、
 絶対に下部にあるアスファルトルーフィングを傷つけてはいけません。
 そんなこと出来ますか?」

「防水は10年保証していますから、
 責任を持って行います。」

シンダーコンクリートを壊す時、
アスファルトルーフィングを傷つけない保証はない!

でも、その他に手直し方法が無い!?

マンション屋上全体のアスファルト防水をやり替えるのなら別ですが・・・・

前代未聞のアスファルト防水の手抜き工事は、
その手直しの代償も大きくなります。

2010年04月02日

内覧会★同行日記 【訂正図の訂正】

【324時限目】                              author アーキスケット 出口

ご依頼者とともにお部屋に入ると、
マンション施工会社の担当者から、

”図面の訂正とお詫び”

の内容について説明があります。

この、”図面の訂正とお詫び”は、
事前にご依頼者に配布されており、
また、私のマンション内覧会資料としてコピーを事前に送付してもらっています。


リビングでその訂正図をご依頼者に見せながら、
「1番、アルミサッシ下部のコンクリートの表現を変更しました。」

確かに、1本の線が無くなっている。
ということは、アルミサッシ下部の壁が無くなっているということだ。

「2番、ルーフバルコニーにある手摺の支柱を2箇所追加しました。」

もし、この2本が無ければ、手摺はグラグラだろうなあー?
ということは、図面の単純な記載漏れだ。

「3番、梁を示す波線の位置が変更になります。」

上の階なので、梁の幅が小さくなり波線が外壁側に寄ったのだろう。
ということは、お部屋の空間が広くなったということだ。


でも、この説明は、あくまでもリビングで訂正図を見ながらの机上説明。

何で、その場所、場所に行って説明しないのかなあー?


で、一通りの説明が終了し、
先ずはルーフバルコニーから内覧会検査スタート。

で、真っ先に目につくのがアルミ手摺の支柱。

当初の図面にあった支柱が1箇所無くなって、
追加したはずの2箇所の支柱は1箇所しか取り付いていない。

合計の支柱の数は変わっていないだけではなく、

支柱から支柱までの距離が約8.5mも飛んでいる!

これじゃー、当初よりもっと条件が悪いじゃないか!


内覧会検査終了後の指摘説明です。

ちなみに、
私の指摘事項の説明は施工会社の担当者と違って、
ひとつひとつの指摘ごとに、
その場所、場所に行って確認してもらいます。

「先ずはルーフバルコニーから!」

と、ご依頼者、施工会社担当者ともどもルーフバルコニーに出ます。

そして、
「アルミ手摺の形状が違いますね!」

「???」

「先ほど訂正説明のあった支柱の位置がぜんぜん違いますよ!」

で、ようやく訂正図と比較しながら、
「本当ですね。違っていますね!」

「訂正図を間違えるなんて恥ずかしくないですか?」

「・・・・・」

「手直ししてもらえますよね!」

「ハイ、訂正図を改めて訂正します!」

「そうじゃないでしょ!
 訂正図どおりに支柱を設置するべきでしょ!」


About 2010年04月

2010年04月にブログ「内覧会同行ブログ by アーキスケット」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2010年03月です。

次のアーカイブは2010年05月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。